虹ヶ咲学園は自由な校風と専攻の多様さで人気の高校で、その為か全国は勿論、海外から生徒が集まり、地方出身や留学生のため、寮も完備されていて、侑も歩夢も寮で生活している。
朝、侑の部屋で、スマートフォンから歩夢の電話が鳴った。きっと目覚まし代わりの電話だろう。
起床した侑は欠伸して。
侑「ふァ~」
歩夢の部屋では制服を着替え終え、髪をブラッシングの途中だった。歩夢はガラスを開けてベランダで外を眺めた。隣の部屋が侑の部屋だった。
歩夢「おはよう」
侑「おはよ~」
歩夢「寝不足?」
侑は再び欠伸した。
侑「ちょっとね」
歩夢「遅刻しないでよ」
侑「うん」
待ち合わせ場所で二人は合流し、
歩夢「ふァ~」」
侑「お待たせ、行こうか」
歩夢「うん」
二人は虹ヶ咲学園へ向かった。補足だが、虹ヶ咲学園には中等部も存在して、部活動も同好会など力を入れており、一部の部では全国大会に出場するほどの強豪校でもある。生徒全員にタブレットを所持していてそれを使って授業を受けている。
教師「来週、また小テストをやるので、今のところはしっかり復習しておいて下さいね」
チャイムが鳴り。
教師「それじゃ、今日はここまで」
授業を終えて、ひとり歩夢は部活棟の標識を眺めていた。
すると侑が歩夢の所へ。
侑「歩夢!待った?」
歩夢「ううん、帰ろっか」
侑「その前にちょっと寄りたい事があるんだけど、いい?」
歩夢「うん、勿論」
侑「ありがと!ふふふっ♡」
侑は歩夢の手を引っ張り、
歩夢「うわ!ちょ、ちょっと!!ねえ、どこ行くの!?」
侑「スクールアイドル同好会!!!!」
歩夢「侑ちゃん!!私、まだ・・・」
侑「私、スクールアイドルって、よく知らなかったからさ。昨日帰ってから動画とかいっぱい観たんだよね」
歩夢「えっ?」
侑は昨日の夜、ベッドでスマートフォンを観ながら。
侑「皆、カッコよくて、可愛くて、輝いていて!もう、完全にときめいちゃった!!!!でも、やっぱり一番は昨日のあの人!!優木せつ菜ちゃんっていうんだって!!!!」
歩夢「ちゃん?」
侑「結構、有名みたいなんだよね!!!神出鬼没の虹学、謎のスクールアイドルってファンクラブとかあるのかなァ?次のライブ決まってるなら行きたいなァ!!!」
昨日の興奮から冷めやらない侑。
歩夢「で、でも!私達もう2年だし!!二人で予備校通うって言ってたよね?スクールアイドルなんて追っかけてる暇ないんじゃ・・・」
侑「問題なし!寧ろ+(プラス)!!せつ菜ちゃんの歌聴きながら勉強したら、すっごく捗った(はかどった)し、今日の小テストもばっちりだった!!!!」
侑「何かさ、すっごくやる気が湧いてくるんだよね!!!!こんな気持ちになったの初めて!!ふふふっ♡」
歩夢は侑がそんなにスクールアイドルにハマった事に、歩夢は何も喋れなかった。
侑「まずはサインを貰わなきゃ!!歩夢、行くよ!!!!」
歩夢「あ、待って!!!」
侑「おお!ここが部室棟かァ!!」
歩夢「そういえば初めて来たねェ~」
侑「広いな」
歩夢「ねえ、スクールアイドル同好会の部室って、どこ?」
侑「さあァ?」
歩夢「えッ?」
侑「HP(ホームページ)の更新も止まってたし、校内の案内図にも載ってなかった」
歩夢「じゃあどうやって!」
侑「片っ端から聞いて回ればいいんじゃない?」
歩夢「えェ~」
侑「大丈夫!!すぐ見つかるって!!!」
歩夢「あ、もう!!!」
二人は部室のドアを開けた。
侑「あの~」
部室には9人の女子部員がいて、手には椀と箸を持っていて、一本の長い竹で、そうめんを流して食べていた。一人の部員(CV.鈴代紗弓)が。
「流しそうめん同好会にようこそ!!入部希望ですか?」
侑「いや、スクールアイドル同好会を探していてェ・・・」
「知らないなァ・・・」
と言いながらそうめんをすすっていた。
侑「美味しそう・・・♡」
歩夢「失礼します!!!」
歩夢は慌ててドアを閉めた。二人は探したがスクールアイドル同好会には見つからなかった。二人は疲れはじめて。
侑「全然見つからない・・・」
歩夢「部活も生徒数も多いからねェ。同好会だけで100以上あるらしいよ?」
侑「マジか!あ!」
すると二人の前に一人の生徒が通りかかって、ピンクの髪で、茶色の瞳で水色のコートを着ていた。
侑「あの、すみません!!」
「あ・・・」
彼女の名前は天王寺璃奈(てんのうじりなCV・田中ちえ美)で1年生で情報処理学科に所属していて、機械好きの生徒である。
歩夢「スクールアイドル同好会って」
侑「どこにあるか知ってる?」
璃奈は緊張しているのか何も言えなかった。
侑&歩夢「う・・・」
侑「もしかして急ぎとかだったかな・・・」
「どしたん?りなりー!」
璃奈「あ、愛さん」
璃奈の後ろにある階段でギャル系の生徒が璃奈に話しかけた。
名前は宮下愛(みやしたあいCV・村上奈津実)で2年で璃奈と同じ情報処理学科の生徒で、学力、運動神経抜群な女の子だ。
愛は侑と歩夢にスクールアイドル同好会の部室の場所をボードで教えた。
愛「ほら、スクールアイドル同好会はここだよ!」
侑「誰に聞いても分からなかったのに・・・」
愛「確か、今年出来たばっかの同好会だしね」
侑「ありがとう!助かったよ!」
愛「どうもいたしまして!」
愛は去って、璃奈は何故か侑の背中のブラウスを引っ張り。
侑「あ・・・」
璃奈「別に・・・急いでなかった。少しびっくりしただけ」
侑は笑みを浮かび。
侑「そっか、なら良かった」
璃奈「好きなの、スクールアイドル」
侑「え、うん!ハマったばっかだけどね!」
璃奈「そう・・・」
璃奈は今度は歩夢に視線を向けた。
璃奈「あなたも?」
歩夢「え?うん、どうだろ?まだよく分からないかなァ」
璃奈「・・・そう」
侑「ありがとね、今から行ってみるよ。行こう歩夢!」
歩夢「う、うん」
二人は遂にスクールアイドル同好会の部室前に来た。
侑「ここが・・・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会!!!!」
歩夢「あの、侑・・・」
「何をしているんですか?」
ふたりの背後には一人の女生徒が二人のところに来て、眼鏡を付けていて三つ編みをしている髪型の生徒である。
侑&歩夢「え?」
侑「会った事、ありましたっけ?」
「生徒会長たるもの、当然、全生徒の名前を憶えているものです」
侑&歩夢「生徒会長!?」
「中川菜々(なかがわななCV・???)と申します」
侑「そういえば、生徒集会で見た覚えがある様な・・・」
菜々「この同好会に御用ですか?」
侑「はい、優木せつ菜ちゃんに会いに来たんです!!」
菜々「彼女はもうここには来ませんよ!」
侑&歩夢「え?」
菜々「スクールアイドルはやめたそうです」
侑「え?」
菜々「彼女だけではありません。このスクールアイドル同好会は・・・」
そして、菜々はドアにあるスクールアイドル同好会の表札を外し。
菜々「只今を以て(もって)廃部となりました」
侑&歩夢「えええ!?」
菜々「失礼します」
菜々は二人の元から去っていった。
侑「そんなァ・・・」
いきなりの廃部に侑はショックを隠せなかった。 ー3につづく