アバン
果林達は菜々に問い詰めながら。
果林「教えてくれる?優木せつ菜さん♡」
菜々「・・・」
菜々は何も答えず、振り返った。
果林「否定しないのねェ」
菜々「元々、隠し切れるものとは思っていませんでしたから。ですが、同好会以外の方に指摘されたのは予想外でした」
果林はエマの方を向けて。
果林「偶々、同好会に親友がいてねェ。何で生徒会長が正体を隠してスクールアイドルをやっていたのか興味はあるんだけど、彼女達が今聞きたいのは、そこじゃないみたい」
エマ「せつ菜ちゃん!」
菜々「・・・」
彼方「ちょっと、お休みするだけって言ってたじゃん!」
しずく「グループ解散した時に決めてたんですか?私達とはもう・・・」
エマ「せつ菜ちゃん!!!」
菜々は逆ギレし。
菜々「優木せつ菜は、もういません!!!!!」
菜々「私はスクールアイドルを辞めたんです!!もし、皆さんが、まだスクールアイドルを続けるなら、ラブライブを目指すつもりなら、皆さんだけで続けて下さい!!!」
Aパート
夜、菜々の部屋で。
菜々(大好きを叫びたかった私が、他の人の大好きを傷つけた・・・)
菜々(私がなりたい自分は、こんなのじゃなかった。だから・・・)
菜々は衣装をキャリーバッグに閉まって、するとノックの音が。
菜々「!」
菜々ママ(CV・白石涼子)「菜々、入るわよ」
菜々「はい!」
菜々は慌ててキャリーバッグを押し入れにしまい込んで、勉強を再開した。
菜々ママが入ってきて、飲み物を持ってきてくれた。
菜々ママ「勉強、捗ってる?」
菜々「勿論!」
菜々ママ「来週、模試でしょ?頑張ってね」
菜々「うん」
生徒会の役員会で。
菜々「分かりました。放課後の体育館の件については私が話しておきます」
「お願いします」
菜々「他に議題はありませんか?」
書記が挙手して。
書記「最近、困った子が校内に住み着いているみたいなんですが」
菜々「どなたです?」
「にゃ~」
菜々「待ちなさ~いィ!!!」
菜々はジャージ姿で、手には虫取り網を持って、猫を追い掛けていた。
菜々「待てェ!!!!!」
猫は、すばしこく、菜々は猫を捕まる事が出来なく悪戦苦闘。
菜々「こら、待ちなさい!!もう、止まって下さい!!!」
猫は警戒しながら菜々を威嚇。
猫「シャァーッ!!」
菜々「もう、逃げられませんよ!!!!」
菜々は構えて猫を捕えようとしていた。
そこで、天王寺璃奈が猫の所にきた。
菜々「情報処理学科1年、天王寺璃奈さん。その猫を渡して下さい」
璃奈「駄目!」
宮下愛も来て。
愛「その子、学校の近くで捨てられたんだよね。どっちの家でも飼えなくてさァ」
菜々「動物の放し飼いは校則で禁じられています」
菜々「その子は天王寺さんの事が大好きみたいですね」
菜々「名前、何て言うんですか?」
それから菜々は見回りで、音楽室からピアノの音色が響いて、それは侑がピアノを弾いていた。因みに曲はせつ菜のCHESE!だった。
音楽室の扉が半開きになっていた。
菜々「何でその曲・・・」
侑は菜々に気付いて慌てた。
侑「どわッ!!生徒会長ォ!?」
菜々「高咲侑さん、音楽室の使用許可は取ったんですか?」
侑「いやァ・・・あのォ・・・」
侑「ごめんなさい!!!」
侑「あはは・・・ちょっと弾いてみたくなっちゃって。でも、初めてだと全然駄目ですねェ」
侑は話の話題をせつ菜の話に。
侑「ところで、さっきせつ菜ちゃんの曲知ってるみたいな感じだったよね!?」
菜々「エッ?」
侑「いいよねェ!CHESE!動画とか見てたの!?もしかして会長、せつ菜ちゃんのファン!?」
※本人、ここにいるんですけど・・・
侑「もー、そうならそうと早く言ってくれれば良かったのにィ!!せつ菜ちゃんの事、色々話そう!!!」
侑「あ、そうだ!!CHESE!の他におススメの動画あったら教えてくれない!?探してるんだけど、全然見つからなくて!!」
そう言いながら、興奮し、菜々に近づく侑。
菜々「ち、近いですゥ!!!」
侑「あ、ゴメンゴメン!!」
菜々「そういえば先日お会いした時、優木さんに会いたがっていましたね」
侑「うん、大好きなんだ!」
菜々「ハッ・・・」
侑「この前のライブやっててね、凄かったんだよ!せつ菜ちゃんの言葉が胸にズシンって来たんだ。歌であんなに心が動いたの初めてだった」
菜々「・・・」
侑「私、夢中になれるものとか全然無かったんだけど、あの日から、スクールアイドルにハマって、今、すっごく楽しんだ!!!歩夢と一緒に同好会も入ってね!」
菜々「同好会?」
侑「そう、かすみちゃんが誘ってくれて!!」
侑「ち、違うの!勝手に部活始めたとかじゃなくってね・・・」
菜々「特に問題ありませんよ」
菜々「スクールアイドル同好会は一度廃部になりましたが、新しく立ち上げてはいけないという校則はありませんし」
侑「えっ?」
菜々「部員が5人以上集まったら、いつでも申請に来て下さい」
侑「そうなんだ・・・」
菜々「優木さんが聞いたら、喜ぶでしょうね」
侑「だったら嬉しいなァ」
侑「何で辞めちゃったのかな?せつ菜ちゃん。こんな事思っても仕方ないって分かってるんだけどねェ。きっとせつ菜ちゃんも、色々考えての事だろうし」
侑「でも、時々、思っちゃうんだよねェ。あのライブが最後じゃなくて始まりだったら最高だろうなって」
菜々「何でそんな事、言うんですか?」
侑「えっ?」
菜々「いい幕引きだったじゃないですか」
菜々「せつ菜さんは、あそこで辞めて正解だったんです。あのまま続けていたら、彼女は部員の皆さんをもっと傷つけて同好会は再起不能になっていた筈です」
侑「そんな事は・・・」
菜々「高咲さんはラブライブをご存知でしょうか?」
侑「スクールアイドルの全国大会みたいなやつだよね?」
議題はラブライブの話に。
菜々「その通りです。ラブライブはスクールアイドルと、そのファンにとって最高のステージ。あなたもせつ菜さんのファンならそこに出て欲しいと思うでしょ?」
菜々「スクールアイドルが大好きだったせつ菜さん同好会を作り、グループを結成し、全国のアイドルグループとの競争に勝ち抜こうとしていました」
菜々「勝利に必要なのはメンバーが一つの色に纏まる事。ですが、纏めようとすればするほど、衝突は増えていって・・・」
菜々「その原因が、全部自分にある事に気付きました。せつ菜さんの大好きは自分本位の我儘に過ぎませんでした」
菜々「そんな彼女がスクールアイドルになろうと思った事自体が間違いだったのです」
菜々はせつ菜のスクールアイドルの引退と同好会の廃部の理由を打ち明け、こう言った。
菜々「幻滅しましたか?」
侑も流石に、何も言えなかった。
侑「・・・」
すると音楽室の扉から上原歩夢が待っていて。
歩夢「侑ちゃん?」
菜々「失礼します」
菜々は音楽室から出て行った。
菜々は生徒会室に戻り、ノートパソコンでせつ菜の動画を観ていた。
動画のコメントで「でも、辞めちゃったんだって」や「いい線いってたかもしれないのに」などの残念なコメントを観て菜々の右手がグーの形になった。
菜々(期待されるのは嫌いじゃなかったけど、一つくらい、自分の大好きな事もやってみたかった)
菜々は同好会メンバーとの揉め事が脳裏に入り。
せつ菜「スクールアイドルが大好きなんでしょ?やりたいでしょ?こんなパフォーマンスではファンのみんなに大好きな気持ちは届きませんよ!!!」
かすみ「でも!!!こんなの全然、可愛くないです!!!!!!」
かすみ「熱いとかじゃなくって、かすみんは可愛い感じてやりたいんです!!!!!!」
せつ菜「!!!」
菜々(私の大好きが誰かの大好きを否定していたんだ。それは結局ただの我儘でしかなく、私の大好きはファンどころか、仲間にも届いていなかった)
菜々はノートパソコンをしまい、下校中。
菜々(ケジメでやったステージが少しでも同好会の為になったのなら)
菜々(優木せつ菜だけ消えて、新しい虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が生まれる。それが私の最後の我儘です)
ー2につづく。